| ある日、年老いたロバが誤って古井戸の中に落ちてしまいました。 |
| ロバは「助けてくれ〜!!」と大きな泣き声をあげました。 |
| その声を聞きつけて、ロバの飼い主があわててやってきました。 |
| ロバが井戸に落ちたことを知り、しばらく助ける方法を考えていましたが、いいアイディアが浮かびません。 |
| そこで、「どうせ助けることはできないのだから、いっそこの危険な井戸ごと埋めてしまおう。そうすれば今後 |
| こうやって誰かが落ちることもない。」 飼い主は近所の友人、動物達を呼んで、井戸を埋める協力を頼みま |
| した。みんなはロバの事を「かわいそう」だとは思いましたが、「助けることは無理」「このままでは皆が危険」 |
| 地上で、みんなが何やら相談する様子に、「もうすぐ助かる・・・」とロバはほっと安心しました。ところがその |
| 瞬間、頭上から硬い土や石が投げ込まれはじめたのです。 !!!なんてこった!!! |
| 賢いロバは、すぐに事の全てを悟りました。「このまま僕はここで死ぬのか!」みんなの薄情さと自分の |
| 不運さを嘆きました。石があたって血だらけになった背中の傷より、心のほうが何百倍も痛くて痛くて、涙が |
| 止まりませんでした。だんだんと足元が土で埋まってきました。そのとき、ロバはある名案が浮かびました。 |
| 上から落ちてくる土を払っては飛び上がり、踏み固め、払っては飛び上がり、踏み固めを繰り返すことでした。 |
| 凄い勢いで落ちてくる土や石。少しでもじっとしていると、あっと言う間に身動きできなくなります。ロバはクタ |
| クタで傷だらけになりながらも、必死でその作業をくり返しました。そして、とうとう井戸は地上近くまで埋まり、 |
| 私が読んだ話はこれで完結でしたが、続きを創作してみました。 |
| 助かったロバを見て、みんなは一様に複雑な心境に陥りました。自分達の行為は、ロバを殺そうとしたひど |
| いものであったからです。それでも、飼い主は心から喜び、ロバの利口さに感心しながら、見殺しにしようと |
| 困ったのはみんなのほうです。このままでは自分たちは「悪者」のままだ。 |
| 誰かを「悪人」にしなければ自分達の立場がない・・・・ そこでみんなは口々に言いました。 |
| 「僕らは本当は助けてあげたかったんだ。だけど、助ける方法はない、このままではみんなも危険だ。とい |
| う言葉を信じて手伝っただけなんだ。こんなひどい目にあって、恨むなら、君の飼い主だよ!」 |
| ロバは優しくうなづきながらみんなの言葉に耳を傾けていました。そして、こう言いました。 |
| 「OK!みんなの言いたいことはわかった。だけど、僕は誰も恨んだりしないよ。だって僕が実際助かったの |
| はみんなが井戸の中に土を放り込んでくれたおかげなんだよ。自分が助かるためにはどうすればいいのか |
| それを考えて、行動することは僕自身の責任なんだ。だから、みんな、もうそんなに自分のことを責めるの |
| はやめてくれ!」 その言葉に、今度はみんなが声をあげて泣きました。 自分達のひどい行いを、こうも |
| 簡単にゆるしてくれるとは思わなかったからです。それからロバはみんなから尊敬される存在となり、飼い |
| 主にも大切にされ、幸せなロバ生を送りました。 じゃん、じゃん! |
| さて、後半の話しは勝手に創りましたが、現実はそう簡単にいかないことが多いでしょうし、投げ込まれる土 |
| が手作業でなく、機械など使用されたら、こんな悠長なストーリーにはならないですね。 |
| この物語から学べるものはたくさんありますが、私はこのロバの打たれ強さと物事の捉え方が備われば最 |
| 高だな〜って思います。自分を助ける能力。今の人になくてはならない(不足している)ものだと感じます。 |
| 思いやりとか、ゆるす心とか本当に大切なものですが、それ以前に、自助能力が備わっていなければ自分 |
| 以外の人にそういう配慮もできません。私達は、他人にちょっとばかり意地悪されたり、悪口を言われると、 |
| ただ ※わじわじ〜 して終わり!って事がほとんどですが、それって実は勿体無い事なのかもしれませんね。 |
| 土や石を投げられても、それはただ痛いもの、嫌なものだけじゃなく、利用次第(発想の転換)では逆に自分 |
| を助けたり、高めたりする「価値あるもの」になるのかもしれません。いえ、そうなんだと最近強く思います。 |
| ロバがあのまま諦めていたら、土の中・・・。でも逆にそれを利用して助かったっていうのは、今の私の状況 |
| に置き換えると、、とっても示唆に富んでいてしびれます! |
| 誰にでも、人知れない悩み、苦難の時もあると思います。でも、その事を 「最悪」 「不幸」 だと思い込み過 |
| ぎて、いつまでも気持ちの切り替えが出来ないでいると、決して自分のためにはならないですよね。 |
| この物語に何やら感じる、感じないは人それぞれだと思います。 |
| ある人は私のように、逆境に負けない強さ、発想の転換であったり、自分を痛めた者をゆるす広い心、思い |
| やりであったり、自分の過ちを認める素直さであったり、言い訳が何の意味もないことであったりと、感じ方、 |
| 人それぞれではあっても、今の自分に必要な 「大切な何か」 を、このロバが教えてくれた。 |
成功と幸福とを、不成功と不幸とを、同一視するようになって以来
人間は、真の幸福が何であるかを理解し得なくなった。
自分の不幸を不成功と考えている人間こそ、まことに憐れむべきである。
三 木 清 |
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